VR倫理委員会 法務倫理研究会

本研究会は2022年11月に一般社団法人VR革新機構から移管されました

 ネット上のVR・3Dの法制度面及び倫理面を考慮したバランスの取れたガイドラインを提示する必要があるため、法務倫理研究会を設置しました。倫理に基づいたVR制作、実写による施設や風景などメタバースやデジタルツインのいろいろな権利に関する法制度など。

 

倫理規定の策定を目指しています

 今後インターネット上におけるVR・3Dコンテンツにおいての倫理についてVR倫理ガイドラインに基づくコンテンツに一定の証明を表示するロゴマークを提供する予定です。

制作されたVRの著作権を含む権利を登録するデータベースを構築します

 リアルとサイバーのデジタルツインにおいて権利関係を登録できる公開されたデータベースを構築します。だれでも登録が可能ですが不正があれば訂正を予告し権利上の争いを防ぎます。
本会の発祥であるVR革新機構における倫理、法制度に対するガイドライン

(一般社団法人VR革新機構第1回法務倫理委員会の審議に対する答申)

 2021年10月、フェイスブックの元従業員であるフランシス・ホーゲン氏の内部文書により、様々な問題が明るみに出た。『10代の女性が自分の体形に不満を感じるときに、インスタグラムを見るとさらに自己嫌悪感の強まる調査結果を非公開とした。』『より感情的な投稿を流通させるため、絵文字の反応を重視するようにアルゴリズムを設定していた。』など、倫理面での問題が明らかになった。これに対して、議会や当局も規制強化に動き出し、信頼回復の難しい状況になった(朝日新聞2021年10月30日)。
 ネットワーク上に3D・VR画像の展開を前提とする一般社団法人VR革新機構では、法制度面及び倫理面を考慮したバランスの取れたガイドラインを提示する必要があるため、法務倫理研究委員会を設置し、瀬戸山晃一先生、宮川舞先生に委員を委嘱した。2021年10月21日に第一回委員会を開催し、ガイドライン作成に着手した。
 

VR研究倫理学会における倫理、法制度に対するVR倫理綱領(基本原則)宣言

 2023年生成AIについての多方面で議論がでてきており、権利問題など今後のリアルとバーチャルにおいて倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)がある。次世代科学技術を研究開発し、社会実装する際に生じうる、技術的課題以外のあらゆる課題を含む。
 法制度面及び倫理面を考慮したバランスの取れたガイドラインを提示する必要があるため、引き継がれた法務倫理研究会を設置し、瀬戸山晃一先生、宮川舞先生に加え、佐野睦夫先生と川勝和哉先生を委嘱した。2023年5月15日に第一回VR倫理委員会法務倫理研究会を開催し、VR倫理綱領(基本原則)作成に着手した。

 

VR倫理委員会 法務倫理研究会

委員長 横松 繁
一般財団法人VR研究倫理学会推進財団/一般社団法人VR革新機構/一般社団法人学術推進専門家協会 代表理事
 
委員  瀬戸山 晃一
京都府立医科大学 医学基盤教育部長/大学院医学研究科 医学生命倫理学 主任教授/医学部医学科 人文・社会科学教室 教授・VR研究倫理学会会長
 
委員  𠮷原 慎一
東京南青山法律会計事務所 弁護士・公認会計士/一般社団法人学術推進専門家協会 理事
 
委員  佐野 睦夫
大阪工業大学 情報科学部 情報メディア学科 情報科学部 情報メディア学科 特任教授 (学長補佐)・VR研究倫理学会業務執行理事
 
委員  川勝 和哉
兵庫県立姫路東高等学校 主幹教諭 SSH推進部長
 
委員  荒川 克成
VR研究倫理学会研究コンソーシアム主幹研究員
 
委員  袴着 賢治
機構財団協会委員会統括事務局長

 
LinkIcon第1回法務倫理研究会議事録


 

VR倫理綱領(基本原則)宣言

 バーチャルリアリティ(以下、VR)は、今後日本において急速に普及していくことが予見されており、私たちの生活に大きな変化をもたらす可能性を秘めた技術です。VR技術の発展と普及は、これまでの法規制では対応しきれない新たな倫理的問題を生じさせることが懸念され、その対応が求められます。一般財団法人VR研究倫理学会推進財団(SVRE)は、VRの倫理的な開発と適正な利用を促進するため、VR倫理綱領を策定しました。
 本倫理綱領は、VRの開発者、利用者、そして社会全体が、VRの倫理的な使用について意識を高め、共通の認識を共有し、VRの健全な発展と普及のために以下の基本原則を提言したものです。なお本倫理綱領は、今後の技術開発の発展と普及に伴い適宜見直しを行うものとします。
 

1. 個人の尊厳と人権の尊重

VR技術の開発者と利用者には、個人の尊厳や人権の尊重に反しない責務が求められる。VR技術の開発や利用においては、憲法をはじめ既存の法令等を遵守することは言うまでもなく、既存の法規制が及ばない仮想現実領域においても個人の尊厳と人権に反するものであってはならない。

2. 安全性と健康の保護

VR技術は、安全かつ健康的な方法で使用されるべきである。VR技術は、使用者の身体的および精神的健康を害する目的で使用されてはならない。

3. プライバシーと個人情報や知的財産の保護

VR技術開発と使用は、プライバシーと個人情報や知的財産の保護に反する使用は認めるべきではない。VR技術は、使用者のプライバシーを侵害したり、使用者の個人情報を不正に収集したり、使用者の個人情報を不正に使用したりする目的で使用されはならない。VR技術開発者は、プライバシー保護や知的財産の保護の対応を講じることができる技術開発に努めるべきである。

4. 公正と公平(差別的使用の禁止)

VR技術は、公正かつ公平に使用されるべきです。VR技術は、特定の個人や集団を不当に差別や中傷する目的で使用されてはならない。また社会の公序良俗に反する使用はされてはならない。譬え使用目的が正当であっても結果的に特定の個人や集団の差別的扱いや嫌悪感を扇動するなどの不利益を与える結果になる使用は避けなければならない。

5. 責任ある開発と利用

VR技術は、本倫理綱領を遵守するように責任を持って開発され、利用されるべきである。VR技術は、個人や社会にとって有害な目的や方法で使用されてはならない。

6. 教育と啓発

VR技術の開発と使用にあたっては、VRのリテラシー向上のための教育と倫理的な問題に関する啓発が行われるべきである。VR技術の開発と提供者は、その潜在的なリスクと利点について、一般の人々に理解を促すように努めなければならない。

7. 研究と技術開発

VR技術に関する研究と技術開発が促進され、広く社会に普及していくためには、VR技術開発は、本倫理綱領の遵守が求められる。VR技術は、人々の生活をより豊かにし、より良い社会を実現するために開発並びに使用されるべきである。
 


 

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